人に対して過度なマルチタスクを導入すると、人を壊すかもしれない −後編:マルチタスクによる過負荷−

人に対して過度なマルチタスクを導入すると、人を壊すかもしれない −前編:マルチタスク黎明期−
人に対して過度なマルチタスクを導入すると、人を壊すかもしれない −中編:マルチタスク継続期−
の続きで、最終回です。

<<ダイジェスト>>
人に対して過度なマルチタスクを導入すると、どうなるかを、自己の事例を元に記述していくシリーズ。

前編では、時間の節約のため、家事をターゲットに、マルチタスクを試みていた時期のことを振り返ってみる。
 1.洗濯機を回すのは20時まで
 2.食事を食べ始めるのは19時までに
という制約のもと、2つのタスクを同時に、かつ、時間通りに行動するためのスケジュール方法と、タイムキーピングのための手法について、例を挙げて解説。

中編では、マルチタスクを実行するために必要な3つの技能
 1.記憶能力
 2.割り込み処理に対する処理能力
 3.リスケジューリング(再計画)
についての解説。

中編の最後に、上記の三つの技能を維持するための大切な技能があると書いた。
その大切な技能とは、ずばり、集中力である。

◆集中力が必要である理由
マルチタスク実行中は、マルチタスクの作業と同時に、
 1.記憶能力
 2.割り込み処理に対する処理能力
 3.リスケジューリング(再計画)
の3つの作業を脳内で行う必要がある。
単独でそれぞれの作業をする場合には、さほど集中力は必要ではないとしても、
同時に作業をする場合、それぞれの作業能力を落とさない and 維持するため
集中力が必要になる。

集中力は、いろいろな技量や作業を繋げるための、
潤滑油の役割を果たしてくれているといっていいと思う。

◆集中力にも種類がある
上記の集中力が必要になる場面では、集中力の出し方に差が出ることがある。
例えば、マルチタスク中にリスケジューリングをする必要があった場合、
瞬時に作業を行う必要があるため、集中力にも瞬発力が要求される。
また、作業を行っている最中に、他の作業状況を忘れないようにするには、
集中力には持続力が要求される。

要は、集中力にも、陸上における「短距離選手」と「長距離選手」のような違いを
要求されるということである。
 短距離選手 = 瞬発力
 長距離選手 = 持久力(ペース配分能力付き)

という感じであろうか。

しかも、瞬発力と持久力をバランスよく配分した上で集中力の使い分けをしないと、
マルチタスクはうまく働かないことがある。

例えば、リスケジューリングの最中に本来のスケジュールの行動ポイントが来ているかを知るには、
本来のスケジュールがどう動いているのかを察知しておく必要がある。
前者には、集中力の瞬発性が必要であるが、後者には持久性が必要になるはずである。
この場合、重きをおくのは瞬発性ではあるが、
持久性を0にしていては行動ポイントを察知することができない、
ということになる。

◆集中力は用法・用量を守って正しくお使いくださいw
個人ごとに集中力の瞬発性と持久性には個性が出ると思われる。
個人の集中力にも短距離選手向きと長距離選手向きという「特性」があると思う。
長距離選手向きの集中力を出すのが得意である人に瞬発性を何度も求めると、
普段より疲労しやすくなると思う。

さらに、個人ごとに集中力の「持続力」も差があると思う。
ずーっと永遠に集中力を発揮していると、それはそれは疲弊すると思う。

自己の集中力の種類と、それぞれの持続力をあらかじめ知っておくと、
自分がどういう種類の作業に向いているのかの自己判断の材料になるであろう。

マルチタスクをするにも、
瞬発性を多く必要とするマルチタスクの方法と、
持久性を多く必要とするマルチタスクの方法があると思う。

自分の集中力の種類によって、
マルチタスクをする場合のスケジュール方法を変更する必要があるだろう。
集中力を切らせてしまったり、
無理に集中力を出さなければならないようなスケジュールであっては、
スケジュールを実行することができなくなってしまうからだ。

マルチタスクを実行する前に、
自己の集中力の種類や強度・耐久性などを超えない範囲で、
正しくスケジューリングすること。
 集中力は用法・用量を守って正しくお使いくださいw
ということを、胸に抱いて(?)、自身に合ったマルチタスクを見つけていただきたいと思う。

…ってか、別に集中力の種類によっては、
マルチタスクをしないほうがいいんですが。(^^;)

【結び…というか、私自身の反省点】
私自身は、日々の行動から、
 持久性のある集中力の持ち主
であると判断できる。
ただ、瞬発性がないかといえば、そうでもない。
何かトラブルが起こったとしても、比較的早急に対応したりすることはできている。
では、マルチタスクを実行するに当たって、何が問題であったかというと、
 持久力と瞬発力を同時に発揮することができない
という点ではなかろうか。

そんな集中力の持ち主が、あのスケジュールを1年近くも続けていたのでは、
体を壊すのも当然と言えば当然…なのかな、と思える。
先に私が例をあげた、洗濯と料理のマルチタスクのスケジュールは、
集中力の瞬発性も持久性も共に極端に必要になるスケジュールの組み方であったと
今になっても思うからだ。
ついでに言うと、家の作業だけではなく、会社でもかなりの集中力で仕事していたのも、
体を壊すことになった一因になっていると思う。
残業ができないので、昼休みを潰すことが非常に多かったので…。

そして、集中力の蓄電池を使いきり、充電が行えない現在、
私はどうしたらいいんでしょう?って感じの日々を過ごしております。(涙)
ちゅーワケで、現在、CAMUSはかなり壊れています。
修復予定はありません。復旧の見込みは立っておりません…。
ご迷惑をおかけしますが、今しばらく復旧の見込みが立つまでお待ちください…。

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