グリベックとの出会い

順天堂浦安病院とのお付き合いの話の続きです。

慢性骨髄性白血病(CML)と診断され、治療生活が始まった。
治療内容は、血液検査の結果を見ながらグリベックという飲み薬を飲むというもの。
グリベックという薬は日本では2002年の4月に認可された薬で、CMLのために開発したつもりが、別の病気にも一部効く可能性がある…というちょっと特別な薬だ。
よって、お値段もべらぼうに高い
健康保険がなければ、例え1日1錠だけの服用だとしても、週休2日でフルに働いている人の給料なんかポン!ととんでしまうほどだ。
N先生曰く、日本で一番高い飲み薬かも…とのことだった。ひえ〜。
それでも、インターフェロンα(グリベック以前のCMLの治療薬として利用されていた薬で、注射で接種)よりはお安いのだそうだ。
つくづく、結構優遇されている社会保険(しかも、高額医療対象なので、返金もある)に加入していてワタシャなんて幸せものなんだろうと思った。ついでに言うと、2001年に生命保険を第一生命に切り替えていたので、シールド特約もいただけた上に、保険料が免除になってしまった。転んでもタダでは起きず、しっかり金をつかんでしまうCAMUSの特異な体質が遺憾なく発揮されてしまったのであった…。(--;)

グリベックは遺伝子レベルで作用する薬なので、はっきり言って何が起こるかわからない…というリスクはあるものの、インターフェロンαよりははるかにいい成績を残している薬なので、CML治療の第1選択としてこの薬を利用するところは多いそうだ。
とりあえず、4錠服用から治療が始まった。
服用にあたっては、グリベック非公式サイトを参考にさせていただいたし、血液疾患のメーリングリストにも参加し、参考にさせて頂いている。

ところがだ。
グリベック服用をはじめてから1週間ちょっとたった頃、体調の変化が出始めた。
体調の変化はだるいから始まり、全身の蕁麻疹から、発熱(高め)にまで至った。
全身蕁麻疹までは何度か経験があったので何とかやりくりはできていたが、さすがにそれに加えて発熱となると、勝手が違ってきた。
とてもじゃないが体が動かない。当然、仕事どころではない。
体は動かないが何とかして病院に行こうとして、娘を連れてタクシーに乗り込み、順天堂浦安病院の救急外来に駆け込んだ。
その場は解熱のための点滴とカリウム投与(非常にカリウムの値が減っていたそうだ)で凌いだ。

翌日、再度N先生に見てもらった。
グリベックの副作用が考えられるが、まずは蕁麻疹を見てもらうように、とのことで、順天堂浦安病院内の皮膚科に行くことになった。
カルテが院内で共通なので、状況説明の簡単な手紙だけで別の科をめぐったりできるところが順天堂浦安病院のありがたいところであった。
皮膚科の担当のY先生(美人な女医さん♪)は私の体を見るなり、即入院と仰られた。
N先生はまさか入院とは思ってらっしゃらなかったようで驚かれ、旦那も大慌てで実母を呼び出して家のこと・娘の面倒を見てもらうこととした。

入院という事態は、急なことではあったが私にとっては全ての休暇であった。
家事・育児・仕事・生活…人間として私がやらなければならないこと、そして、私が辛いと思っていたことからの開放であった。
点滴に繋がれて不自由ではあったものの、人の作ってくれる食事のありがたみや、本を読む時間のあること、人と他愛のないおしゃべりをする時間のありがたみを、入院生活でかみ締めていた。
特に、私のお向かいで足の骨折で入院されていた年配のご婦人とのおしゃべりは私をとても元気にしてくれた。
話を良く聞いてくれるし、たくさんアドバイスも頂いたし、話すこともとても興味深くて非常に聡い女性だった。
年をとったらあんな人になりたいなーなんて思ってしまうぐらい、今でもとても感謝しています。

と、こんな感じでグリベックとの出会いはかなり衝撃的な出来事なのでありました。