人間の視覚モデルは微分でも表現できる

人間の目も勝手に微分をやっていることがある

そんなアホな!と思うかもしれないが、微分には見たものの輪郭線がドコにあるかを調べられる力があるんです。
輪郭線がドコにあるかを調べるにはラプラシアン (2 次微分)を利用します。

…と書いても、ピンとこないと思うので、ラプラシアンを図で表してみます。


ラプラシアンを2次元の表で表すと、右頭のような感じになります。
厳密に書くとチョイと違うのですが、特徴は、

すんごくとんがって突き出ている部分



ちびっとへっこんでいる部分が囲っている

という形になります。
この逆の、すんごくへっこんでいる部分をちびっととんがっている部分が囲っているという形でもかまいません。

この、特徴が輪郭線を捉えるのに必要なんです。

ちなみに、一番出っ張っている部分が一番注目している部分 とし、その周りは、一番出っ張っているところから離れるに従って、あんまり注目しなくなってくる…という風に捉えてください。


例えば、円が二つある絵があった場合、この絵を見たときの輪郭線を探すにはどうしたらいいか、を考えてみます。

円の2つある絵の濃淡の断面を一部表現してみると、右のような図になります。
黒い部分がくぼみ、白い部分が浮き上がったでこぼこしたラインが出来上がります。

このでこぼこのラインに沿って、ラプラシアンの曲線をなぞらせてみます。


でこぼこの線にラプラシアンの曲線を下側から左方向より右方向になぞらせてみると、曲線は右図のような動きをします。
ラプラシアンの曲線では、一番注目する部分は一番出っ張っている部分としますので、一番出っ張っている部分がでこぼこ線に沿うように動きます。
すると、平坦な動きをする部分と、落差のある部分の動きの2種類があるのが判ると思います。

ラプラシアンの曲線というヤツは、平坦な動きをしているところではボケーっとしているのですが、出っ張ったり引っ込んだりという動きをすると、「おっ!」と反応するのです。

ここで、別にラプラシアンの曲線やのうても出っ張ったり引っ込んだりは判るやろ?と思うかも知れません。


実は、ラプラシアンは2次元だけじゃなく、3次元のものとして表現して、上から見た図は右図のようになります。
ラプラシアンの曲線をy軸を中心に回転させると、3次元の突起ができます。
右図でいくと、茶色の円がラプラシアンの曲線となりますが、その円の中心が一番注目したい点になります。
その注目したい点の周りも見て、色の変化があるかどうかを判断するのです。

こういう仕組みのコトを、実は人間の目もやっているらしく、人間の目も微分をやっているのだ、なんて言ってみるわけでした。

【関係しそうなリンク】
 2次微分(差分)によるエッジ検出
 【8近傍ラプラシアンフィルタ】
 ラプラシアンフィルタ

難しい話でゴメンナサイでした。(_o_)
気に入らない部分があれば、加筆する予定があります。
また、わかりにくい部分があればご指摘くださいませ。

数学倶楽部にTBします。